TOEICⓇ L&R TESTを使って、英語の４技能を効率的に伸ばす方法 (ナラボープレスブックス)

TOEICⓇ L&R TESTを使って、英語の４技能を効率的に伸ばす方法 (ナラボープレスブックス)の詳細

TOEICやって、英語が出来るようになるのかな？と悩んでいらっしゃる方にお薦めです。この本の結論は、TOEIC®のスコアが伸びることは英語の４技能「聴く、読む、話す、書く」の成長と密接な関係があるということです。本来はコツコツと続けた英語学習の効果測定のために作られたはずのTOEIC®テストが近頃では業務のグローバル化に対応できるようにと、大学生が就活時に記入するエントリーシートにスコアの記入を求められる、管理職への昇進にTOEIC®のスコアが730点が必須になるといったことが起きているため、英語力を伸ばすことよりもスコアをいかに伸ばすかが主流になって来ています。赤井田さんは書いています。TOEIC®テストを本来の目的に沿って活用するためにはリスニング、リーディングテストの結果を見る時にどのパートができたのか、あるいはできなかったのかを確認することが大切。例えばリスニングテストという形式を取ってはいるけれどもパート2は実はスピーキング能力と密接な関係があることを。なぜなら短い会話が聞こえてくる。それに対する一番適切な答えを３択から選ぶ。なんで他のパートのように４択でないのかというと：実際に会話をする際は相手の質問を覚えていられる間に即答する。となると４択では答えるまでに時間がかかり過ぎて相手の質問を忘れてしまう。だから３択問題。実際に会話をする能力を測っているのと同じ。また英語力が伸びるメカニズムは以下のようになっているそうです。たくさん読むことで単語が増え構文を捕える力が伸びる。そして読んでわかるようになればそれを聴いて理解することの基礎になる。聴いてわかるようになれば自分でもそれをまねて話せるようになる。この「読む・聴く・話す」という土台ができる間に、発信力である「書く力」もいつの間にか徐々に伸びている。というメカニズムを実際の様々なデータを根拠に詳細に解説されています。私自身、日頃英語を教えているものとして「なるほど！」と納得感があったのがTOEIC®テストの得点が730点を超えるあたりから「社会言語学的要素（生活英語）の重要度が増す」という指摘です。730点と言えば職業技能のレベルを分類する際に上級者と判定される一つの目安となるスコアです。教科書の中で学べるいわゆる「知識英語」だけでは、英語圏の日常生活の中で出てくる看板、標識、広告などの「生活英語」は学べない。となるといわゆる上級者の730点突破には日常的な「生活英語」の知識と聴く・読むの技能が必要になってきます。だから730点前後からスコアが伸び悩むということが出てくるんですね。更にもうひとつ。日頃からTOEIC®テストのスコアを１点あげるのに３時間の自己学習が必要という情報を英語関係者の常識のように聞いていましたが実際にそれを実験した際のデータも掲載されています。それによると確かに500点の人が600点を取るのに300時間。そして400点の人が600点を取るのに604時間という結果になっています。ボキャブラリーについては・自分で使える単語（表現言語）・使えないが、読んだり聞いたりすればわかる単語（理解言語）に分けられると記されています。（ちょうど「漢字読めるけど書けない」と同じ）そしてその２つはの語数は当然「理解言語＞表現言語」という関係です。「話す・書く」のアウトプッ（表現言語）はお金を払い、フィードバックをもらいながら伸ばす。基礎となる幅広い理解言語はお金を掛けず、自分一人でコツコツ伸ばす。というのが効率的かつ経済的な学習法という指摘もされています。全部を書くことはできませんが、それにしても各主張、指摘の根拠となるデータの紹介が豊富で解りやすく２時間で読めます。そして最後に書いてあったTOEIC®満点なのに英語が話せない人がなぜいるのか。この問いに対する答えは是非、この本を読んでご自分で確かめてみて下さい。